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2015.06.17 Vol.31 New Moon / for 424 greenz people
今週から「グリーンズの学校」の募集が続々とスタートしました!
今回も greenz people のみなさまに、「グリーンズのつくり方」をお届けします。
 
<vol.31>の目次

FEATURE / ブラインドサッカー協会・松崎英吾さんインタビュー
SCENES / TEDx上智、リノベ@浜松、gdTokyo...近ごろのグリーンズ
COMMUNITY / 寺脇あゆ子さんに聞く、美味しいご飯の話
Q&A / 編集長のYOSHさんに質問「儲かる記事ってあるの?」
 
 

FEATURE

「ブラインドサッカー協会」事務局長・松崎英吾さんに聞く、
応援される組織のつくり方

with Eigo Matsuzaki / interview by Shotaro


こんにちは、グリーンズの正太郎です。
greenz peopleの専任スタッフとしてジョインしてから、早いもので8ヶ月が経ちました。

その間、新たに200名近くの方にgreenz peopleにご入会いただいており、読者の方の「greenz.jp」を応援してくださる力が、日に日に大きくなっているのを肌に感じています。本当にありがとうございます!

ただ、その力を「greenz.jp」を通じて社会に対して大きく還元していくためには、まだまだその仕組みや、グリーンズ自体も変わっていく必要があるように感じています。そこで今回は、多くのサポーターの力を活動の原動力に変えている日本ブラインドサッカー協会の事務局長・松崎英吾さんにお話を伺いました。

実は、僕が大学生だった頃、松崎さんのもとで2年間ほどインターンをしていました。社会人になるタイミングで卒業しましたが、その後3年間でブラインドサッカーに関わる人、応援する人の輪は大きく広がり、それに合わせて活動自体も大きくスケールしています。

ここ最近どんな変化があったのか? そのために組織としてどんなことに取り組んできたのか? greenz people のこれからを考えるためのヒントを、みなさんとも共有できたらと思います。(正太郎)


 

ブラインドサッカー協会の松崎英吾さん
 
植原 今日はよろしくおねがいします。
こうして再会できて、とても嬉しいです。
 
松崎さん こちらこそ、よろしくおねがいします。
 
植原 僕が関わっていたのは
2012年くらいまででしたが、
その後、ブラサカを取り巻く状況も
かなり変わっているようですね。
 
松崎さん その頃はまだ、
東京でのパラリンピックの開催が
決まっていなかったので、
障がい者スポーツへの社会的な関心は
とても低かったですよね。

まずは「ブラサカって何?」という
ところからのスタートで、
手の届く範囲でやっていたというか。
 
植原 当時はまずはYouTubeを見てもらう、
という感じでしたよね。

そうなると、東京パラリンピック開催決定は
かなりの追い風だったと。
 
松崎さん はい。
障がい者スポーツを、国策として
振興しようということになったので、
その影響は大きいです。

単にメダルの数を増やそうということだけでなく、
ユニバーサルデザインの観点で
街を見直す動きが出てきました。

他にも、「障がい者差別解消法」という、
僕たちの活動の根底を支える
法律も施行されました。

今やっと、いろいろ進めやすい状況が
整ってきた感じですね。
 
植原 ブラサカを知っているという人も
増えてきたと思うのですが、
それはメディア取材の影響ですか?
 
松崎さん 直接的にはそうです。
ただ、それができるようになってきたのも、
メディアさんとのリレーションづくりを
積み重ねてきたからだと思っています。

2014年に代々木で開催された
ブラインドサッカー世界選手権のときは、
ある1日だけで100名以上の方が
取材に来てくれましたが、嬉しいことに、
大勢のリピート取材をいただきました。
 
植原 それはすごいですね。
 
松崎さん 大きな大会がないときでも、
週に2回はプレスリリースを出したり、
試合経過をタイムリーに公開したり。

小さいことを積み重ねてきたので、
「ブラサカさんはきちんと対応してくれる」という
信頼感につながっているのかなと。
 
植原 取材している方たちの中にも、
ブラサカのファンになった方が
たくさんいそうですね。
 
松崎さん それはあります。
だからこそ、成長のワクワク感を
共有することは、とても大事ですね。

「障がい者スポーツのために、
 サッカー界の未来のために、
 ブラサカが何かやってくれるはず」

そう思ってもらえるように、
さまざまな取り組みを行っている感じです。
 
 

写真提供:日本ブラインドサッカー協会
 
植原 改めて、ブラサカがすごいなと思うのは、
「視覚障がい者と健常者が
 当たり前に混ざり合う社会を実現すること」
というビジョンがまったくブレない
ことだと思うんです。

インターンさんも含めて、
みんながこのビジョンを語っていますよね。
 
松崎さん それはいわゆる“北極星”で、
目指すべき状態なんですよね。
それをしっかりと浸透させていくために、
1泊2日の「ビジョン研修」もやっています。
 
植原 それは、どんなことをやるんですか?
 
松崎さん 強化部や審判部など組織が大きくなる中で、
普段はほとんど顔を合わせない
メンバーも増えていて。
それぞれの優先順位や目標が違うので、
意見がぶつかることもあるんですよね。

そこで、例えば組織横断の5人一組で、
「混ざり合う社会」をテーマに、
寸劇を実演してもらうんです。
 
植原 面白いですね。
 
松崎さん その研修をすると、みんな
「理念については一枚岩だよね」という
実感が生まれます。

そう気付く瞬間は、
本当に涙が出るくらいですよ。
 
植原 いつ頃から、始まったんですか?
 
松崎さん 2011年のアジア予選で負けてしまって、
ロンドンに行けなかったときが、きっかけですね。

「このビジョンを目指してるから、
 勝てないんだ」みたいに、
空中分解しそうになったので、これはもう、
みんなで膝を突き合わせて話そうと。

その話し合いの結果見えてきたのは、
「ビジョンはこれでいい」ということでした。
それを選手も、スタッフも、
みんなが納得できたから、
うまく回り始めたんだと思います。
 
植原 さらに、そのビジョンのもと、
「2024年までに世界一であること」という
目標も掲げていますね。
 
松崎さん ビジョンを見せるだけでは、
やっぱり弱い部分もあります。
でも、世界一という史上最高の目標を掲げたからには、
やらなきゃいけないことが見えてきますよね。

目標がわかりやすいからこそ、
生産性が上がってきたように思います。
 
植原 「世界一になる」ではなく、
「世界一である」というのは、
どういう意味をこめているんですか?
 
松崎さん 2024年に世界一になっても、
それで満足せず、そこから先もずっと
「世界一とるぞ!」ということです。
つまり、世界一であり続けるシステムを
つくらないといけない。

だからこそ、短期的な勝利至上主義ではなく、
資金調達のための種まきや、
次世代の日本代表を育てる取り組みといった、
時間がかかることの優先順位を
高めることができました。
 
植原 長期的な目標を立てることが、
深い信頼関係につながっていったんですね。
 
 

greenz.jpの記事より
  街で障がい者と出会ったときに
どう行動が変わっていくのか。

ただ、目隠ししてサッカーしよう というものではなく、
自分なりにビジョンを咀嚼してくれる人が 増えていくことが、
裾野を広げる上で大事なのかなと。
 
植原 サポーターの数も、この数年で
かなり増えていますよね。
 
松崎さん 使い古されてる言葉ではあるけれど、
生態系になりつつあるなという実感はありますね。

根っこを太らせるために、
微生物役を買って出る人もいれば、
恵みの雨を降らしてくれる、
パートナーとしてのスポンサーさんもいる。

目指したい世界観とともに、
根を張りながら広がってきた感じで。
 
植原 その中で、個人からの支援を増やすために、
考えていることはありますか?
 
松崎さん ひとつは観戦チケットを買ってもらって、
会場に足を運んでもらう。
ある意味、普通のスポーツと同じ状況まで
持って行くことが、次のステップだとは思います。
 
植原 なるほど。
 
松崎さん あとは、ブラサカのことを知ってくれる人は、
自然に増えていくと思うので、
「混ざり合う社会」を体験する人を増やす、
というのは重要な戦略ですね。

言葉で世界観を伝えて「なんとなくいいね」ではなく、
「あ、こういうことか!」というところまで、
引き上げていくような場をつくること。
それが5年後、10年後に、ボディブローのように
効いてくると思っています。
 
植原 確かにそうですね。
 
松崎さん その結果、体験した人が
植原 やみくもに広げていくのではなく。
 
松崎さん そう。
例えば、スポ育や企業研修は
じっくりとプログラムに参加してもらうように、
一回の参加者は50人は超えないようにするとか、
そういうこだわりはありますね。

そこで熱が伝わるからこそ、
「自分の子どもにも体験させたい」という
次の活動につながっていくので。
 
植原 その思いで積み重ねた「20,000人」という
参加した子どもたちの数は、大きな意味がありますね。
 
松崎さん その子たちが、5年後にボランティアに来てくれたり、
10年後には社会人になる。
将来のブラサカの力になってくれる
分母が広がっている。

それは僕たちにとって大きな財産です。
 
植原 つくりたい「社会」を強く描き、
それを5年、10年かけて実現していくために
目の前の「体験」をひとつずつ生み出している。

松崎さんのお話を聞いて、そのことの大切さに
改めて気づくことができました。
今日は、ありがとうございました!
 
 


SCENES

TEDx上智、小屋、リノベスクール@浜松、gdTokyo...
近ごろのグリーンズの風景

selected by Nao, Yosh, Ono and Shotaro

 

2015年5月31日(日) 東京にて
母校の上智大学で開催されたTEDxSophiaUniversityで登壇しました!(YOSH)
 

2015年6月3日(水) いすみにて
小屋は、雨が楽しい。(菜央)
 

2015年6月4日(木) 浜松にて
リノベシンポ@浜松!170人申し込み!盛況!緊張!やべえ!(小野)
 

2015年6月12日(木) 東京にて
おかげさまで今月の #gdTokyo も満員御礼でございました◎
本日の話の内容は、8月に完成するグリーンズ会員限定本に収録されるのでお楽しみに!(しょうたろう)
 

 


COMMUNITY

ライターの寺脇あゆ子さんに聞く、
美味しいご飯の話

with Ayumi Terawaki / interview by Kota


greenz.jp のライターさんは、どなたもユニークで素敵な方ばかり。そこでこのコーナーでは、「ライターさんの引き出し」にスポットを当てていきたいと思います。

今月ご登場いただくのは、マイプロSHOWCASE福岡編 with 西日本鉄道で活躍中の寺脇あゆ子さん。福岡在住の寺脇さんは、greenz.jp以外でもフリーのエディター&ライターとして活動しながら、全国津々浦々、美味しいご飯を求めて旅をしているそう。 今回はそんな「寺脇さんの引き出し」をお届けします。(コウタ)


 

寺脇あゆ子さん
松山生まれ、福岡育ち。福岡と大阪の出版社を経てフリーのエディター&ライターとして活動。
美味しいごはんとお酒を求めて、全国を旅する日々を過ごしています。
学生時代はフルートを専攻。DUBやエレクトロニカのバンドに所属していた経験あり。
 

私が住む福岡はテナント料が安いこともあって、若い人でも独立しやすい土地柄。どんどん新しい店ができては消えていくという街だからこそ、美味しい店を見つけるには、なによりも出会いと情報が頼りになります。

同じように、仕事に遊びに、飛行機とレンタカーを使って日本全国を旅するときも、現地の食事は、知人の縁で見つけた店に行くようにしています。「あの人のオススメなら、間違いないよね!」という信頼ある情報のほうが、レビューサイトの情報よりも、私にとって価値が高いんです。

もともと仕事で九州圏内の旅雑誌やガイドブックの原稿を書くことも多かったので、「せっかく仕事で旅行するならば、美味しいものを食べて帰りたい」と、事前に詳しい人からの情報を仕入れていたら、自然と日本全国の美味しいご飯ネットワークが広がっていきました。

数ある料理の中でも、私は肉料理が大好き。最近、特にお気に入りのお店が、山形県にある「ひつじや」です。知り合いに教えてもらったお店で、以前から噂は聞いていたのですが、いざ行ってみると噂以上に素敵でした。

ジンギスカンなどの羊料理が中心なのですが、ユニークなのは敷地内で羊を飼っていること。つまり私たちが「ひつじや」で食べる肉は、その店のシェフが自ら育て上げたお肉! 実際店につくと、まず眼に入るのが放牧されている羊たち。彼らを見ながら先に進むと、そこにそのレストランがある。そんなお店です。

野菜もすべて地域で採れたものにこだわっていて、にこだわっていて、地域で循環しているんですね。料理の美味しさももちろんですが、ローカルにつくりローカルに消費するというその姿勢にとても感銘を受けました。みなさんも、ぜひ機会があったら行ってみてください。

最近では、私がお肉に詳しいことが知人の間に広まり、友だちから「美味しいお肉が食べられるお店を教えて!」と頼まれる機会も増えてきました。でも、お店をオススメすることって意外と難しくて、相手の好みや「どんなシチュエーションで何人で食べるのか」などをヒアリングして、お店を紹介したり、実際に私が一緒に案内をすることもあります。

その案内をすることによって、また新しい人とのつながりが生まれ、美味しい店を知ることができるのも楽しみのひとつです。「あの人がオススメならば!」という信頼の数珠つなぎで、これからも日本全国津々浦々、美味しいお店を訪ね歩いていきたいと思っています。(談)

寺脇さんが書いた、最近の人気記事はこちら!
「グランドビジョン」中尾賢一郎さんに聞く、遠回りする人生の大切さ
住民と行政をつなげる「LOCAL & DESIGN」福田忠昭さんに聞く、“自分ごと”のまちづくり
日常を豊かにするお店「カフェ・ガレリア」斉藤裕輔さんに聞く、みんなが成長する場のつくり方



 



Q&A

編集長のYOSHさんに質問です。
「儲かる記事ってありますか?」

with Kayoko Ikeda


メルマガの〆は、greenz people と一緒につくるフリートークの質問コーナーです。
ご質問・ご意見などは people@greenz.jp までお気軽にお寄せ下さい!

 

今回は、編集学校@関西卒業生で、会員の池田佳世子さんが質問します

Q. 儲かる記事ってありますか?

「物書き」の仕事は、なかなか儲からへんと思うねん。でも、「収益」とか「経営」とか「SEO」とか考えすぎると、書き手の「思い」が置き去りになったりしないですか? なくしたらあかんものっていっぱいあると思うんやけど。それって、甘いのかしら。(池田さん)

▼ ▼ ▼


編集長のYOSHが答えます

A. 「ご縁をつむぐこと」こそ、物書きの価値かなと思うんです。

とても本質的なご質問、ありがとうございます。greenz.jpの編集長としても、そのバランスは、無意識のうちに考えているテーマのように思います。

まず考えたいのは、「物書き」の仕事の価値はどこにあるのか? ということ。そこに画一的な答えはなく、自分のプライド(いい意味で!)として自分なりに言語化しておくと、受ける仕事や関わる人たちの断捨離がしやすいと思うんです。

greenz.jpの場合、「物書き」=ライターさんの仕事の価値とは、記事そのものに留まらず、インタビューを通じて、あるいは記事がシェアされることで育まれていく新しい関係性です。ひとことでいえば、ご縁をつむぐこと。その結果、誰かの人生を動かしてしまうくらいの変化を生み出すのであれば、その周辺に利益の源泉が眠っているはずですよね。

それが僕たちにとっては「学校」や「出版」だし、まだ見えてないもろもろです。もちろん原稿料はお支払いしますが、記事だけで稼いでもらうよりも、一歩踏み込んでエディターとして関わっていただいたり、学校のコーディネートやファシリテーションをお願いしたり、新しい仕事を生み出すことを心がけるようにしています。そういう意味では、記事はあくまで社会への贈り物として、ペイフォワードの感覚で捉えている方がいいのかなとか。今のところはですが。

そして、それくらいの変化を生み出すのは、当然、熱源となる「思い」は欠かせません。僕たちは消費されるような情報を届けたいだけではなく、心にとどまり続けるような熱を伝えようとするからこそ、いまのgreenz.jpのポジションがあると思っています。それは世の中的には主流ではないからこそ、試行錯誤の連続ですが、やりがいはありますね。

そして、次に向き合いたいのは、そもそも、何のために儲けたいのか? という問いです。これも、無限の答えがありそうですね(笑)

例えば、関わる人たちが豊かに生きていくため? それなら必ずしも対価がお金である必要はなく、特定のスキルだったり、食べ物だったり、成長の機会だったり、お金じゃない等価交換もありかもしれません。あるいは純粋な恩送りが、一生モノのコミュニティとの出会いをつくるかもしれない。(とはいえ、非対称なやりがい搾取はもちろんNGです)

簡単にはお金には換算できない、そんな社会関係資本を指標とすれば、ものすごい成長率を達成しているかもしれない。結局、評価の対象や優先すべき指標をどこに置くかが、その組織の文化なわけで、そこは関わる媒体を選ぶ権利はライターさんにあるので、もっとわがままになってもいいと思いますよー。

そういうgreenz.jpも9年間、LOVEとPOWERのリズムを感じながら、都度都度、KPIを見なおしています。LOVEや思いだけで突っ走ってしまうのも、実はよくないですからね。僕も少しずつ大人の階段を登っている感じです。

ちなみに、利益を「りやく」と呼べば、仏さまの慈悲から生まれる幸福を意味したりします。「経営」や「SEO」と「思い」を対立項におくのではなく、根っこでつながっている部分にこそ未来の可能性がある。今後もgreenz.jpでは、そんなことを明らかにしていけたらと思っています。ご参考までに!


 



最後まで読んでいただき、ありがとうございました!
次回の発行日は<7月16日(木)>の予定です。

メールマガジン編集長:YOSH(グリーンズ編集長)
編集:スズキコウタ(グリーンズ編集部)
発行:NPO法人グリーンズ
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